介護業界にとって長年の目標地点であった「2025年」。ついにこの大きな節目を迎え、そして駆け抜けた1年でした。
現場に立つ皆様にとっては、人材確保の難しさやますます厳しくなるサービス確保・調整など、頭を抱える場面も多かったことでしょう。しかし、この状況だからこそ見えてきた次世代へのヒントもありました。AIの本格的な活用や新しいサービスの芽吹きなど、漠然としていた不安が「これからの具体的な道筋」へと変わり始めた年でもあったのではないでしょうか。
激動の1年を経て、ケアマネジャーの業務やキャリアはどう変わるのか。特に押さえておきたい6つの重要トピックを厳選して振り返ります。
- 1. 人材不足という現実が、社会全体の「共通認識」になった年
- 2. ケアマネ資格と研修の“大転換”:更新制廃止へ
- 3. 待望の賃上げ支援。「蚊帳の外」だったケアマネにも、ついに光が
- 4. 制度の持続性と利用者の生活。「納得感」のある着地点を探して
- 5.テクノロジーと保険外サービス。新しい「味方」が増える?
- 6. 2026年へ。ケアマネが持ち帰りたい3つの視点
- おわりに:私たちは、時代の変化の「真ん中」にいる
1. 人材不足という現実が、社会全体の「共通認識」になった年
2025年のニュースで最も多く目にしたのは、やはり人材に関する話題でした。 有効求人倍率の高まりや、ケアマネジャー自身の高齢化、そして事業所の減少といったデータは、現場の皆様が肌で感じていた「忙しさ」や「採用の難しさ」を裏付けるものでした。
ただ、この厳しい現実は、同時に大きな転換点でもあります。「ケアマネがいないと高齢社会、介護生活が回らない」という実情が浮き彫りになったことで、ケアマネジャーの仕事が「なくてはならないインフラ」であるという認識が、これまで以上に社会へ浸透した一年だったと言えるのではないでしょうか。
今まで現場だけで抱えていた課題が、社会全体のテーマとして共有されたことは大きな一歩です。この「認知」をこれからの「解決」への足がかりとし、現場がより前向きに働ける環境づくりへとつなげていくことがますます必要になっています。
2. ケアマネ資格と研修の“大転換”:更新制廃止へ
制度面で特に大きな話題となったのが、ケアマネ資格の「更新制廃止」に向けた動きでした。 長年負担となっていた更新研修の見直しが進む一方で、「学びの質をどう担保するか」という新しいテーマも生まれました。また、資格取得要件(実務経験年数)の短縮案など、"なり手"を増やすための議論も活発化しました。
これは、「更新のために仕方なく受ける研修」ではなく、「現場で本当に役立つ学び」のために、専門職が主体的に参加していく研修へと「研修の質の向上」に向けた動きとも言えそうです。 これからは、ケアマネ一人ひとりが自分のキャリアに合わせて、より自由に、より実践的なスキルを磨ける環境が整っていくことが期待されます。
ケアマネジャーが働きやすい環境づくりの必要性に真剣に向き合った結果、更新制の負担軽減が図られたことは大きな転換点だったのではないでしょうか。
3. 待望の賃上げ支援。「蚊帳の外」だったケアマネにも、ついに光が
処遇改善については、ケアマネジャーにとってまさに「悲願」とも言える動きがあった一年でした。
これまでの処遇改善加算では、介護職員が対象となる一方で、ケアマネジャーは対象外とされることが多く、「なぜ私たちだけ?」という悔しい思いをした方もいたのではないでしょうか。 しかし2025年、ついにその流れが変わりました。 政府が打ち出した「月1万円」の賃上げ支援は、明確にケアマネジャーも対象として組み込まれました。
もちろん、「金額としてまだ十分ではない」「手続きが複雑」といった課題もあります。また一時的な「止血」にとどまらず、現状に見合った賃金の底上げが継続できるかも引き続き、注視していかねばなりません。それでも、これまで置き去りにされがちだったケアマネジャーの処遇に光が当たったことは、歴史的な一歩と言えます。
4. 制度の持続性と利用者の生活。「納得感」のある着地点を探して
利用者負担のあり方についても、多くの議論が交わされました。 「応能負担」の考え方に基づく2割負担の対象拡大や、ケアプラン有料化(特に特定条件下での検討)、要介護1・2の生活援助の給付外しといったテーマは、ケアマネジャーとしても神経を使う話題だったと思います。
ここで光ったのは、「現場の専門職としての声」でした。 制度の持続可能性は大切にしつつも、「必要な人にサービスが届かなくなるリスク」について、専門職団体や当事者団体がしっかりと意見を発信し続けました。 2026年以降もこのバランス調整は続きますが、制度決定のプロセスに現場の実感を届けていくことの重要性が、改めて確認された一年でした。
5.テクノロジーと保険外サービス。新しい「味方」が増える?
2025年、介護現場には「新しい技術」や「保険外サービス」という新たな潮流が押し寄せました。生成AIなどの活用や、公的制度を補う保険外サービスの環境整備へ向けた動きです。
これらに対し、「本当に負担軽減になるのか?」「どこまでケアマネが責任を負うべきか」という懐疑的な声が上がるのは当然のことです。不慣れなツールや責任範囲があいまいな調整業務は、新たなシャドウワークになりかねないという不安も、現場の実感としてあるでしょう。
しかし、これまでの方法だけでは支えきれないケースが確実に増えてきました。利用者さんの暮らしを守り、ケアマネ自身も無理なく働くために、新しいアプローチを検討する時期に来ていると言えます。
完璧な正解はまだありません。ですが、これらを単なる負担として拒むのではなく、「自分たちの余力を生み出し、利用者さんへの選択肢を広げるための手段」として、賢く活用していく。そんな柔軟な挑戦が、これからの介護現場には必要になっているのではないでしょうか。
ケアマネドットコムでも、「業務効率化」の工夫をご紹介していきます。
6. 2026年へ。ケアマネが持ち帰りたい3つの視点
最後に、激動の2025年を経て、私たちがこれから大切にしていきたい視点を3つ整理しました。
- 変化を味方につける、しなやかな視点
利用者様やご家族への対応に加え、次々と変わる介護保険のルールを追いかけるのは、本当に骨の折れる仕事です。しかし、変化を単なる負担と捉えるのはもったいないこと。 制度に「振り回される」のではなく、より良い支援や正当な評価のために制度を「使いこなす」。そんなしなやかな視点が、これからのケアマネジャーの強みになります。 - 現場の言葉で「翻訳」する
難しい制度の話を、利用者さんや地域の方にわかりやすく伝える。この「翻訳者」としての役割こそが、AIには代われないケアマネジャーの価値です。 - まずは「自分自身のケアプラン」を
ニュースの中には、カスハラ対策やメンタルヘルス支援の話題もありました。利用者を支えるためには、まず支援者である皆様自身が健やかであることが何より大切です。「どんな働き方をしたいか」「どうスキルアップしていきたいか」、自分自身のプランも大切にする一年にしていけるとよいですね。
おわりに:私たちは、時代の変化の「真ん中」にいる
団塊の世代が後期高齢者に突入し、まさに「2025年問題」の真っただ中にあったこの一年。 確かに課題は山積みでしたが、それは同時に、ケアマネジャーが高齢者だけでなく日本社会を支える「なくてはならない存在」であることが、より鮮明に浮き彫りになった一年でもあったように思います。
「人が足りない」「制度が複雑ですぐ変わる」という荒波の中で、それでも利用者さんの生活を支え、現場をつないできた皆様の仕事は、本当に尊いものです。
デジタル化や制度改正が加速する現代において、多くの高齢者が「情報格差」の中で取り残されそうになっています。だからこそ、世の中のニュースや複雑な制度を理解し、利用者さんが安心できる言葉へと「言語化」して届ける皆様の存在は、社会資源をつなぐ命綱そのものです。
変化の激しい時代ですが、皆様がその知見を現場の「確かな手応え」に変えていけるよう、2026年もケアマネドットコム運営事務局一同、心を込めて伴走してまいります。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
実務の中での「気づき」や実際の支援事例をもとに、日々の業務や利用者支援のヒントとなる情報をお届けします。現場の皆様の力になれるよう、心を込めて発信しています。