田中元のニュース解説

今改正で誕生した「居住サポート住宅」。 介護支援の「囲い込み」は生じないか?

今年の通常国会で、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等、いわゆる「住宅セーフティネット法」が改正されました。ケアマネ等が注目したいのは、一人暮らし高齢者等の新たな住まい類型として「居住サポート住宅(居住安定援助賃貸住…

真の地域共生社会を目指すには、 「ケアマネに頼るしかない」の解消から

厚労省が「地域共生社会のあり方検討会」をスタートさせました。時代に合わせた包括的な制度のあり方が問われる中、今検討会の行方は、2026年の介護保険法改正等(社会福祉法等含む)につながることが想定されます。2027年度改定でのケアマネ等の実務にも大…

ケアマネ更新研修改革の行き着く先は? 現任者が実感できるメリットはあるか

6月24日の「ケアマネジメントにかかる諸課題に関する検討会」では、更新研修等のあり方についての議論の方向性が示されました。現任のケアマネにとって、気になるテーマの1つが更新研修についてでしょう。検討会ではさまざまな意見・提案が上がる中、どの…

認知症施策推進基本計画案の気になる点。 「評価のための取組み」という本末転倒

2023年に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法(以下、基本法)」が成立し、国が進めるべき施策上の責務も明記されました。これを受け、政府の認知症施策推進関係者会議での意見交換をもとに、認知症施策推進基本計画や基本的施策の素案が示されて…

訪問系チームマネジメントの整備なくして 外国人従事者の就労拡大は困難か

厚労省の「外国人介護人材の業務のあり方に関する検討会」が、中間まとめ案を示しました。主なテーマの1つが、訪問系サービスに従事できる在留資格の範囲を広がるかどうかです。早ければ来年度にも範囲の拡大が進められる可能性もある中、介護業界全体で考…

ビジネスケアラー問題で徐々に明らかに。 介護が経済・財政の悪化を抑えてきた面も。

経済財政諮問会議で、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2024」の原案が示されました。介護保険関連で、2割負担者の範囲やケアマネジメントに対する給付のあり方などの論点が上がっていますが、ここでは「経済成長」とのかかわりも深い「ビジネ…

今報酬改定で?急加速する倒産・撤退。 国から現場への強力メッセージが急務に

東京商工リサーチが公表した2024年1~5月の「老人福祉・介護事業」の倒産状況は、過去最速ペースを記録する衝撃的な数字となりました。注意したいのは、経営的な苦境が際立つ訪問介護だけでなく、通所・短期入所、有料老人ホームも含め、あらゆるサービス…

2024年通常国会が間もなく終了。 介護関連の法成立・決議を整理

2024年の通常国会が(今後延長がない限り)6月23日で閉会します。今国会でも、介護分野にかかる改正法等がいくつか成立し、審議継続中のものもあります。衆議院の厚生労働委員会では、介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する決議も行なわれました。 ビジネ…

2027年度要介護認定が大きく変わる⁉ 期待と不安が交錯する政府の改革案

内閣府の規制改革推進会議の答申案で、重きが置かれたテーマの1つに「要介護認定のあり方」があります。すでに通知等で実現された課題もあれば、たとえば2027年度までに実現を迫っているものも見られます。改めて改革の方向性全体を整理してみましょう。 5…

ケアマネ業務のあいまいさはどこから? 「自己暗示」を強いられる環境にも問題あり

厚労省の「ケアマネジメントにかかる諸課題に関する検討会」では、ケアマネの業務範囲も論点の1つです。背景には、利用者ニーズの多様化・複雑化がありますが、そこに制度が追いつかず、ケアマネ心理の揺らぎを強めているといった点も注意が必要です。 「ペ…

一人暮らし高齢者支援に不可欠な「生活援助」。 心不全パンデミック時代で重要度上昇⁉

一人暮らし高齢者等が増えている現状を受け、政府もさまざまな施策を打ち出そうとしています。今後、多様なサポートの枠組みが議論されていくでしょう。一方、要介護の一人暮らし高齢者の生活を維持するうえで、不可欠なサービスといえば訪問介護です。上記…

「何のため?」が揺らぐケアプラン検証。 現場の戸惑いに耳を傾けるべき

財務省の財政制度等審議会が示した建議で、介護保険改革案の1つに「生活援助サービスに関するケアプラン検証の見直し」が掲げられています。財務省側のプレッシャーが強まる中、現場の実務負担との兼ね合いで、ケアプラン検証のあり方が問われつつあります…

第9期の1号保険料をどう見る? 現場に与える影響も注視したい

第9期介護保険事業計画期間(2024~2026年度)における、第1号保険料(65歳以上)の月額平均が公表されました。2026年度までの3年間で6,225円と、第8期の6,014円からプラス3.5%となっています。この金額から、どのような状況が見えてくるでしょうか。 プ…

ローカルルールの新たな火種に⁉ 同一建物等居住者の居宅介護支援費減算

ケアマネの実務負担を考えるうえで、付きまといがちなのがローカルルールの存在です。今改定では「ローカルルールの取扱い」についての疑義解釈も出されていますが、保険者と現場で解釈が混乱しそうな改定も増えています。たとえば、今改定で居宅介護支援に…

ケアマネの働き方を議論するなら、 利用者負担導入への影響精査も不可欠

厚労省で、「ケアマネジメントにかかる諸課題に関する検討会」の議論が続いています。2025年に介護保険部会の議論が始まる頃には、一定の取りまとめが行われていると思われます。ただし、介護保険部会側の議論によって、検討会の改革案が揺れ動くシーンが生…

ケアマネ更新研修の改革ヒントに⁉ 2022年の教職員免許の更新制廃止の話

厚労省で「ケアマネジメントにかかる諸課題に関する検討会」が開かれています。ケアマネの業務のあり方(業務範囲等)などの諸課題が示される中、現場の注目点の1つが「法定研修のあり方」でしょう。特に各種更新研修にかかる時間や費用の問題は、次の制度…

ケアマネの業務範囲にどのような影響が? 終身サポート事業の「これから」に注意

今年4月に施行された孤独・孤立対策推進法にもとづく政府会合で、高齢者等終身サポート事業者ガイドライン案が示されました(5月18日までパブリックコメントを募集中)。同案では、ケアマネとのかかわりについての記述も目立ちます。現在議論が進む、ケア…

2024年度診療報酬改定で浮かぶ、 ケアマネの次期改定テーマ「対薬剤師連携」

2024年度改定で目立ったテーマといえば、(リハビリ・機能訓練、栄養、口腔の一体的取組みを含めた)「口腔衛生管理」の強化です。一方、診療報酬とのダブル改定でじわり浮上したのが、服薬等にかかる介護・医療連携のあり方です。2027年度改定に向けて、今…

新処遇改善への理解を求めるリーフレット。 最大20%超の加算率の理解は得られるか?

今年6月から一部サービスを除き、新しい処遇改善加算(介護職員等処遇改善加算等)が施行されます。これにより、サービスの利用料負担が増える可能性があることから、厚労省は利用者の理解を得るためのリーフレットを作成しました。その効果は? 居宅ケアマ…

テクノロジー導入による生産性向上策。 居宅介護支援もすでにターゲット⁉

厚労省の「ヘルスケアスタートアップ(SU)等の振興・支援策検討プロジェクトチーム(PT)」が示した中間とりまとめ。介護現場が注目したいのは、「介護テック(テクノロジー)」にかかる提言でしょう。ICT等の導入支援補助金の拡充も示される一方、現場とし…

ケアマネジメント検討会の行方を先読み。 国の狙いと現場の実態のズレが鮮明に⁉

厚労省の老健局で、「ケアマネジメントにかかる諸課題に関する検討会」がスタートしました。同検討会は、一昨年の介護保険部会における「介護保険制度の見直しに関する意見」を受けての設置となります。スタートしたばかりですが、2027年度改定に向け、どの…

政府が介護休業法等の改正案を提出。 野党は訪問介護への緊急支援法案など

2024年度改定が施行される中、介護保険のあり方をはじめ、国民の介護ニーズに対応する施策への注目はますます高まっています。たとえば、現在開催中の国会ではどのような法案が提出されているのでしょうか。内閣提出法だけでなく議員提出の法案にも注目しま…

今改定で一気導入の「生活・認知機能尺度」。 その拙速さがもたらすリスクに注意。

2024年度改定では、厚労省への情報提供および多機関との情報連携に関して、新たな様式も数多く誕生しています。中でも、現場での習熟が要されるものに「生活・認知機能尺度」があります。この尺度の活用については、注意すべき点もいくつか考えられます。 複…

ケアプランデータ連携システムをどうする? 居宅介護支援費IIの算定に悩む現場

居宅介護支援でも報酬・基準の改定が施行される中、事業所の運営方針について現場からさまざまな声が届いています。その中で注目したいのが、改定前の「居宅介護支援費II(逓減制緩和枠)」の算定から、「居宅介護支援費I」の適用に戻したというケースです。…

ヤング&ビジネスケアラー増加下で、 短期入所系の改定も高重要度に

居宅ケアマネの実務では、居宅系サービスの改定動向からもさまざまな影響を受けます。意識したいものの1つが、短期入所系サービスです。ヤングケアラーやビジネスケアラーが増える中、看取り期などを含めて家族介護者のレスパイト等はさらに大きな課題とな…

管理者以外のテレワークも明確化。 ケアマネ業務はどう変わる?

政府のデジタル臨時行政調査会の方針にもとづき、介護現場の人員配置基準上の「情報通信機器を活用した遠隔での業務の実施(以下、テレワーク)」の取扱いの留意事項が示されました。管理者については、2023年9月に通知が出されていますが、今回は「管理者…

高齢者虐待防止措置未実施減算をめぐる 「わかりにくい規定」の背景とは?

2024年度改定では、ほぼ全サービスに虐待防止措置の未実施減算が設けられました。その適用要件について、解釈基準や疑義解釈を見ると分かりにくい印象を受けます。現場での混乱も生じやすい中、特に小規模事業所などが心得ておきたい点はどこにあるでしょう…

訪問看護との比較から見えてくる 居宅ケアマネ処遇改善策のヒント

今年6月からの新たな処遇改善加算は、これまでと同様、居宅介護支援は対象外です。居宅ケアマネとしては、基本報酬や特定事業所加算等の引き上げや取扱い件数の緩和が処遇改善のカギとなりますが、問題は実務負担とのバランスです。この点で比較したいのが…

ケアマネの眼前に山積みとなる情報。 課題抽出・整理に向けて何を目安にする?

2024年度改定は、診療報酬側の改定も含め、多様な機関・職種間での情報共有の機会がさらに増え、その様式の更新も目立ちます。居宅ケアマネとしても、手元へと大量に集まってくる情報をいかに整理し、ケアマネジメントへと活かすかがますます問われています…

居宅ケアマネが注目したい情報の紐づけ。 他サービスの加算様式も要チェック。

2024年度改定では、各種加算の要件となる情報提供様式もいろいろと見直されました。居宅介護支援が算定しない加算であっても、ケアマネ側の加算様式と深く関係しているものも見られます。各サービス担当者との情報共有のあり方を確認することが必要です。 入…

ターミナルケアマネジメント加算の改定。 ケアマネは何を問われているのか?

2024年度改定の解釈基準等が示されました。過去の改定以上の複雑さともに、明確な解釈基準がなかなか出ないといった状況もあり、現場の混乱を招きやすくなっています。その一例として、ケアマネ関連の改定からターミナルケアマネジメント加算を取り上げます…

特定事業所加算の見直し要件。 わずかな文言に潜む施策的意図に注意

2024年度改定に向けた改正省令や解釈基準、疑義解釈などが発出されました。ケアマネ関連の改定で、気になるものの1つが特定事業所加算の要件見直しです。たとえば、全区分にかかる要件で「他法他制度にかかる研修等の参加」が求められた点。要件を満たすた…

訪問介護の赤字は「加算」でカバー? 揺らぐ土台に家を建てる─となる懸念

訪問介護の基本報酬引下げについては、各方面から抗議や反発が続々と上がり、今国会でも重要課題の1つとして浮上しています。訪問介護で赤字事業所が4割というデータも示される中、国として「引下げ撤回」や「補足的な対応」を行なうことはあるのでしょう…

新基準「オンラインでのモニタリング」。 本当に業務効率化? 告示案から浮かぶ課題

2023年度の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議の資料がアップされ、「別冊」として2024年度改定の省令・告示等の通知案も示されました。あくまで「案」であり、「追って通知する」という内容も散見されます。 「オンラインでのモニタリング」の狙いは…

2024年度改定はケアマネの一大分岐点。 専門性が揺らぎかねない状況に着目を

2024年度の居宅介護支援に関する改定では、逓減制のさらなる緩和や予防支援の担当上限算定の変更などで、ケアマネ1人あたりの件数がどうなるかが気になります。各種加算や居宅サービス側や診療報酬側の改定なども含め、ケアマネにとって「隠れた業務負担」…

診療報酬改定に見る「対ケアマネ連携」。 ケアマネ側の業務風土はどう変わるか?

診療報酬改定の具体的項目の答申が行われました。介護報酬との同時改定ということもあり、対介護連携にかかる改定項目も目立ちます。以前、居宅ケアマネが把握しておきたい「診療報酬側の事情」について述べましたが、具体的にケアマネ実務にどのような影響…

6月からの新処遇改善加算。 意外に高い⁉ 高区分算定のハードル

配分ルール等を統一し、加算率を引き上げた新しい処遇改善加算は、今年6月から適用されます(1年間の経過措置あり)。今、現場から聞こえてくるのは、「高い区分(I・II)は本当に算定できるのか」という懸念の声です。新区分に応じた要件の積み増しを見て…

協力医療機関をめぐる改定 施設等ケアマネの働き方への影響は?

2024年度改定では、施設系・居住系で「協力医療機関との連携」をめぐる新基準・加算が設けられました。一方、診療報酬側でも協力医療機関としての責務を全うするための施設基準や評価が誕生しています。そうした中、両者を「つなぐ役割」は誰が担うのか。施…

生産性向上の推進に「アウトカム評価」。 現場での指標活用にまつわる懸念

2024年度改定では、「生産性向上の推進」が大きなテーマの1つです。新たな運営基準による委員会の開催はもとより、注目したいのが新加算や基準緩和での実務要件です。新加算・基準緩和の適用は「義務」ではありませんが、将来的な適用拡大等を見すえると、…

入浴介助加算の見直しで浮かぶ、 「入浴」の重要性への認識の薄さ

2024年度改定では、通所系サービスに関する注目項目に「入浴介助加算」の見直しがあります。2021年度改定で設けられた新区分の要件が一部見直されたほか、従来区分にも新要件が誕生しています。現場からの戸惑いの声も多い中、通所をはじめとする「入浴介助…

予防訪問看護や予防通所リハの動向に注意。 介護予防支援に広がる「これからの課題」

2024年度から、居宅介護支援が予防支援の事業者指定を受けられることになりました。また、予防支援の基本報酬も引き上げられ、逓減制にかかる取扱い件数の算定法も緩和されています。気になるのは、予防給付のサービス調整を適切に行なうための資源状況です…

「看取り期」のチームケアに重大影響も。 訪問介護の基本報酬問題、もう1つの視点

2024年度改定では、居宅系サービスでも看取り期の対応強化を促す見直しが行われています。訪問看護でのテコ入れが目立つ一方で、訪問介護もカギの1つと位置づけている点は見逃せません。訪問介護の基本報酬引下げが社会的に問題化しつつある中、国による施…

ケアマネの入院時情報連携加算等の見直し。 診療報酬側の「改定事情」にも注意を

2024年度の介護報酬・基準改定では、ケアマネの対医療連携に関係する内容も多岐にわたっています。診療報酬も同時改定となるタイミングを考えれば、円滑な対医療連携を進めるうえで、医療側にどのような「事情」が生じているのかを知ることが重要です。 ケア…

2024年度改定で見えてくる、 トップと従事者の「対話」がカギとなる時代

2024年度の改定内容では、組織的な実務をともなう新基準・新加算や、既存加算で新たな取組みを定めた要件見直しなどが、過去の改定以上に目立ちます。多くのサービスで基本報酬や処遇改善加算の加算率は上がりますが、それが上乗せされる実務のバランスと見…

居宅介護支援は基本報酬等アップ。 ケアマネの処遇改善は実現するか?

2024年度の介護報酬・基準の改定項目が示される中、ケアマネとしては、これまで以上に基本報酬や各種加算への注目が集まっていると思います。処遇改善加算が居宅ケアマネに適用されない中、所定単位の動向によって処遇改善が左右されることになるからです。 …

訪問介護等の基本報酬の引下げで、 何が起こるか? 撤回はありえるか?

2024年度の介護報酬にかかる省令等改正案が諮問・答申されました。事業者などの驚きの声が集中しているのが、訪問介護や定期巡回・随時対応型などの訪問系サービスにおける基本報酬の引下げです。ホームヘルパーの有効求人倍率が15倍を超えるという中、社会…

2024年度改定が大きな転機に⁉ 現役世代の介護保険料上昇で問われる説明力

厚労省より、2024年度の介護保険の2号保険料の1人あたり月額見込み額が示されました。2023年度見込み額から60円アップの6,276円で、過去最高となっています(企業健保等の加入者は事業主と折半)。すでに1号保険料の月あたり平均基準額を上回っている中、…

身体的拘束等の適正化をめぐる基準。 新たに対象となるサービス現場の注意点

2024年度改定に向け、介護給付費分科会で運営基準等の諮問・答申が行われました。今回注目したいのは、身体的拘束の適正化の推進にかかる運営基準の強化です。訪問系、通所系、福祉用具系、そして居宅介護支援においても、「緊急やむを得ない場合」等を除い…

基本報酬か、逓減制緩和分の増収か… ケアマネの処遇改善はどこでまかなう?

2024年度改定については、15日の基準の諮問・答申に続き、間もなく基本報酬や加算等の具体的な要件・単価が示されます。居宅のケアマネにとって気が気ではないのが、ここまで「ケアマネの処遇改善」に向けた明確な方策が示されていないことでしょう。 ケアマ…

自治体独自の処遇改善策はまだまだ進む⁉ 「副作用」が高まる前に必要なことは…

東京都が、介護職員やケアマネの給与を月額1~2万円ひきあげる独自策を打ち出しました。自治体による処遇改善の独自策といえば、大阪府が新型コロナの5類移行後の感染対策への支援として、介護職員等に2万円のギフトカードを配布したケースもあります(…