田中元のニュース解説
結論が先送りされていた「給付と負担」にかかる3つの改革ですが、2024年度予算の大臣折衝を経て当面の決着が図られました。ただし「2割負担者の拡大」は、一定の方向性を示したうえで、さらに最大3年後まで検討が継続されます。今回は、この3つの改革を…
高齢者虐待防止法等にもとづく対応状況等調査で、2022年度の結果が公表されました。注目は、養介護施設従事者等による虐待が、相談・通報件数、虐待判断件数ともに対前年度比15%超に増加したことです。高齢者虐待防止の取組みは効果を上げているのでしょう…
元日、能登半島を中心とした北陸地方で大きな地震が発生しました。被災された方々には、心よりお見舞いを申し上げます。懸念されるのは、極寒の季節に避難所生活が長引くことでの健康被害などです。介護施設・事業者も大きな被害を受け、業務継続や利用者の…
2024年度改定の審議報告で、ボリューム的に目立つ項目の1つに認知症の対応力向上があります。2023年の「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」の成立も、大きな後押しとなっています。具体的な改革の中で注目されるのが、認知症のBPSDの予防や早期…
2024年度の介護報酬の改定率が、同年度予算の大臣折衝を経て+1.59%と決まりました。プラス改定とはなったものの、厳しい数字と受け止める声もあります。社会保障上のさまざま課題に直面せざるを得ない今、この「1.59」という数字が示す意味について考えま…
2024年度の診療報酬改定では、薬価を除いて施行時期を6月に後ろ倒しすることが決まっています。これを受け、12月18日の介護給付費分科会では、介護報酬についても一部サービスを6月施行とする方針が示されました。ただし、それ以外のサービスが4月施行の…
近年の介護報酬・基準改定の見直しでは、重点的なテーマとして「リハビリ・機能訓練」「栄養」「口腔」があります。2024年度改定に向けた審議報告案を見ると、これらの一体的取組みもさることながら、その中でも「口腔」のクローズアップが目立ちます。現場…
12月11日の介護給付費分科会で、次期改定に向けた審議報告案が示されました。年明けの公布までに変更が加わる可能性はありますが、大体の方向性として現場も準備に取りかかる必要があります。問題は、現場における管理業務がじわりと底上げされることです。 …
大きな改革案の1つだった、新複合型サービスについて、2024年度からの実施は見送ることが提案されました。LIFE対応加算の訪問系等への適用に引き続き大改革が見送られます。そもそも、この新複合型の拙速な導入案はどのような問題をはらんでいたのでしょう…
2024年度の介護報酬改定に向けて、見逃せないテーマの1つが、地域によって「サービス資源そのものが足りなくなる」という危機への対応です。受けたいサービスが受けられないとなれば、制度自体への信頼も揺らぎかねません。国はどう考えているのでしょうか…
次期改定の主要テーマの1つである「介護現場の生産性の向上」ですが、厚労省が示した改革案で「新たな評価加算」が打ち出されました。従来の人員配置以外の体制(テクノロジー活用や介護助手活用など)とその効果に着目する点で、極めて大胆な改革といえま…
居宅介護支援や訪問系に関係する2024年度改定の動向で、注目されていたのが「LIFE対応加算(科学的介護推進体制加算など)の適用拡大」です。11月27日の介護給付費分科会では、この訪問系サービス等への対象拡大を見送る方針が示されました。 複数回モデル事…
2024年度改定は診療報酬との同時改定となり、両者の取組みの整合性をとる観点から、介護・医療連携のあり方が特に大きなポイントになります。そうした中、介護給付費分科会では、施設系・居住系に関する医療機関への情報提供についての改革案が示されました…
2024年度改定に向けた居宅介護支援の改革案で、通院時情報連携加算の見直しがあがっています。2021年度改定で誕生した同加算ですが、件数ベースでの算定率は0.5%にとどまります。厚労省として、どのような方向に導きたいというビジョンがあるのでしょうか。…
2024年度の介護報酬改定率に影響を与える、介護事業経営実態調査の結果が公表されました。注目は2022年度決算の状況です。特養ホームなど施設系サービスの収支の厳しさが際立ちますが、居宅系サービスも収支差率では現れてこない問題が垣間見えます。 施設系…
介護給付費分科会で示された居宅介護支援の改革案の中から、特定事業所加算の要件見直しについて取り上げます。具体的な対応は3つですが、これらは今後のケアマネジメントのあり方にどのような影響をおよぼすでしょうか。今後の事業所運営を考えるうえで、…
次期改定に向けた居宅介護支援の改革案で、逓減制にかかる担当上限のさらなる緩和策が示されました。Iの上限緩和もさることながら、気になるのはIIのさらなる緩和で「ケアプランデータ連携システムの活用」を要件とした案です。そこに込められた意味とは? …
2024年度改定に向けた介護給付費分科会のサービス別議論で、居宅介護支援にかかる改革案が示されました。まず注目したいのは、業務負担軽減の一環として、テレビ電話等の活用によるモニタリングを可としたことです。果たして現場に浸透する改革なのでしょう…
次期介護報酬の改定率を左右する2024年度の予算編成が近づく中、財務省の財政制度等審議会(財政制度分科会)が、予算編成に向けた社会保障制度にかかる課題を示しました。介護報酬・基準改定などに向けた改革案もかかげています。将来に向けて、どのような…
10月23日の介護給付費分科会では、小規模多機能型サービスの改革の方向案が示されました。総合マネジメント体制強化加算の算定率が約9割にのぼることから、基本報酬に包括化する案が出ています。それと同時に示されたのが、地域包括ケアの推進と地域共生社…
2024年度改定に向けた議論で、個別サービスの改定の方向案が示されています。通所介護で注目が集まるのが、「入浴介助加算」のあり方でしょう。2021年度改定で2区分となった同加算ですが、2024年度にどう見直されるのか。今改革案の課題とともに掘り下げま…
2024年度の介護報酬改定は、何より現下の物価高騰と他業界の賃金水準上昇を見すえた対応が大きな課題となっています。現場としても、個別の改定項目の動向以上に、「改定率がどこまで上がるか」に注目が集まっていることでしょう。厚労省としても、改定率の…
今月末に政府がまとめる経済対策では、介護従事者の処遇改善に、現場のみならず社会全体の注目が集まっています。一部報道で「月6000円アップ」という数字も出る中、本当にそのレベルにとどまるのか。どのレベルであれば、危機的な人材不足解決へ道筋が開け…
政府が人口減少社会への対応として、デジタル技術の活用による社会改革を目指しています。ICT等のデジタル技術の活用といえば、介護現場も主たるターゲットです。現場従事者が真に働きやすいデジタル技術の導入には、どのような道筋が求められるのでしょうか…
10月11日の介護給付費分科会で、2024年度の報酬・基準改定に向けた「基本的な視点」が提示されました。第1クールの議論や関係団体ヒアリングを受けて、これからの議論の方向性を示したものです。具体性には乏しいものの、今後の議論を見すえるうえで注意し…
厚労省の「介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会」が、中間整理の骨子案を示しました。2027年度(第10期)以降を見すえた総合事業の環境整備のあり方を提案したものです。要介護1・2の一部サービスの総合事業への移行案との関係も気になる…
2024年度改定に向け、現状での最大テーマといえば、今後も加速が懸念される「人材不足」でしょう。そこには当然「ケアマネ不足」も含まれます。基本報酬のアップや処遇改善加算の適用などがテーマの中心となりますが、気になるのはそれら施策の「適用範囲」…
質の高い認知症ケアを、介護報酬上でどのように評価すればいいのか。9月27日の介護給付費分科会の関係団体ヒアリングで、複数の団体からあげられている課題です。特に認知症BPSDの予防・改善に向けた取組み強化は、認知症施策推進大綱でも示され、介護施策…
2022年度の介護給付費実態統計が公表されましたが、ここでは短期入所や短期利用などのショートステイ系に着目します。いずれも、昨今大きな社会課題となっている「ビジネスケアラー」等の支援で不可欠な資源ですが、今データでは気になる傾向が見受けられま…
2024年3月末の経過措置終了までに、すべての事業所・施設は対応できるのか──厳しさの漂う結果となりました。2021年度改定で運営基準に定められた「業務継続に向けた取組み」についてです。厚労省の今年7月時点での調査では、業務継続計画(BCP)の策定完了…
厚労省より、2021年度の介護保険事業状況報告が公表されています。コロナ禍での「サービス控え・停止」が続いていた時期なのでさまざまな注意が必要ですが、今後の介護保険のあり方を探るうえでのヒントを探ることができます。ポイントはどこにあるでしょう…
増加する「加算」が、利用料の内訳をはじめ制度全体をわかりにくくしている──利用者だけでなく現場従事者も実感している課題でしょう。9月15日の介護給付費分科会では、制度の安定性・持続可能性の確保の一環として「報酬改定の簡素化」がテーマに。解決へ…
2021年度改定の大きな特徴は、2024年3月末までの経過措置を設けた新基準が数多く誕生したことです。9月15日の介護給付費分科会では、これら一連の項目が取り上げられました。ここでは、口腔・栄養にかかる運営基準について、次期改定で居宅系サービスに広…
介護給付費分科会では、危機的状況にある介護人材の確保に向け、さらなる処遇改善を求める声が高まっています。一方で、介護報酬上の加算等の上乗せは、被保険者の保険料上昇にもつながります。この課題の解決には、どのような方策が求められるのでしょうか…
厚労省より「情報通信機器を活用した介護サービス事業所・施設等における管理者の業務の実施に関する留意事項」が出されました。いわゆる「テレワーク」を介護現場の管理者に適用する際の留意事項です。政府の工程表では、管理者以外の従事者にかかる規定も…
8月30日の介護給付費分科会で取り上げられた「横軸」テーマのうち、今回は「新しい複合型サービス」を取り上げます。想定されているのは、既存の訪問系サービス(訪問介護など)と通所系サービス(通所介護など)を複合させた類型です。ここでは、特にケア…
8月30日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会では、全サービスを通じた、いわゆる「横軸」的なテーマが議論されました。その中で、ケアマネとして気になるテーマが、居宅介護支援にも対応加算導入が見込まれるLIFEについてでしょう。 「今優先すべ…
利用者の在宅生活の継続を進めるうえでは、ADL・IADL、栄養・口腔の状態の維持・向上だけでなく、「適切な服薬管理」も重要な課題となります。2024年度改定に向け、「服薬管理」をテーマとした居宅のケアマネジメントやサービス担当者間の連携は、どのように…
認知症の新治療薬「レカネマブ」が、8月21日の厚労省の薬事・食品衛生審議会で、製造販売承認されました。これにより、早ければ年内にも保険適用となる可能性が高まりました。この新薬の一般患者への処方が現実となった時、医療および介護の現場で、どのよ…
今年も、公益財団法人・介護労働安定センターから最新(2022年度)の介護労働実態調査の結果が公表されました。事業所調査では人材不足感の高まりが指摘されていますが、ここでは労働者調査にも注目しながら、主にケアマネの状況にふれてみましょう ケアマネ…
7月31日、令和5(2023)年度の全国介護保険担当課長会議が開催されました。2024年度からの介護保険制度の見直し内容などが示されています。その中に、2021年度改定で定められ、2023年度末までの経過措置がとられている義務化の一覧も整理されています。 全…
2024年度は介護・診療・障害福祉にわたるトリプル改定となります。ケアマネにとっては、特に対医療連携のあり方が気になるところでしょう。今年前半には、トリプル改定を見すえた分野横断の意見交換会も開催されました。改定のポイントや課題を改めて整理し…
8月7日の介護給付費分科会では、全国老人福祉施設協議会から会長名で「令和6(2024)年度介護報酬改定に向けた要望」が出されました。急激な物価高等による経営悪化や人材確保困難を背景に、極めて強い危機感を訴えたうえで求めているのが、介護報酬の「…
総務省が、2022(令和4)年の就業構造基本調査の結果を公表しました。介護現場として注目したいのは、家族の介護・看護ために過去1年で離職した者が再び10万人に達したことです。出産・育児のための離職者が大幅減となったのとは対照的な状況が浮かびます…
ケアプランデータ連携システムが今年4月20日から本格稼働し、3か月が経過しました。WAM NET上では、全国の居宅介護支援および居宅介護サービス事業所の利用状況(7月21日時点)が掲載されています。最寄りの地域で、システムを利用している事業所が地図上…
ホームヘルパーの著しい人材不足や事業所の地域偏在など、在宅を支える訪問介護が危機に直面しています。開催中の介護給付費分科会でも、訪問介護の報酬上の評価は大きな論点となるでしょう。特に着目したいのは、制度上の位置づけが揺らぐ「生活援助」です…
ケアマネの平均年齢は51.9歳で、介護関連職種全体の50.0歳、介護職員の49.8歳をいずれも約2歳上回っています。それ以上に際立つのが、年齢層の分布で「40歳未満」が1割に満たないこと。若い世代の参入スピードが鈍い状況をどうとらえればいいのでしょうか…
7月24日に開催された介護給付費分科会では、訪問介護をめぐる議論が行われました。事務局から提示されたデータで、やはり注目されるのがホームヘルパーの人材不足の状況です。有効求人倍率は2022年度で15.53倍という、異次元とも言える数字になっています。…
総務省が公表する「2023年の熱中症による救急搬送状況」によれば、国内で気温が急上昇した7月10日から16日の1週間で、救急搬送が8,189件にのぼりました。前週の3,964件からほぼ倍増しています。梅雨明けとともに、さらなる気温上昇も予想される中、専門職…
2024年度改定の主要課題の1つが、ケアマネの処遇改善や業務負担の軽減です。その議論で土台になりそうなのが、2023年3月に公表された厚労省の老健事業での調査結果です。特に2021年度改定で導入された「逓減制の緩和」への評価が大きなポイントの1つです…